読書記録 傲慢と善良 感想1

今回はこちらの本を読みました。

 

傲慢と善良

辻村深月 著

 

 

 

 

話題になっていましたが辻村さんの作品が苦手で手に取るのが遅れました。

でも、かなり話題になってるし、、、読んでみよう!と図書館で予約して借りました。

ここからは感想となります。ネタバレ含みますのでご注意ください。

感想が熱くなりそうなので、数回に分けてブログを書きます。

 

 

 

 

 

 

 

あらすじは

もうすぐ結婚する婚約者の真実が突然失踪してしまった。真実はストーカーに悩んでいたためストーカー被害にあったのかもしれない、と心配する婚約者の架。架は真実の両親や姉などに話を聞き真実を捜す。

 

 

今回の話は2部に分かれていました。

1部は婚約者を捜す東京生まれ東京育ちアラフィフ男性の架の視点。

2部は失踪した婚約者真実の視点。

始まりからどんどん物語に引き込まれていきました。

 

 

まず1部 架視点の感想

ストーカーから真実を守るように同棲し、もうすぐ結婚する。

順調だったはずなのに真実が突然いなくなってしまう。

悩んでいたといってもストーカーの名前や真実の過去を詳しく知らない架。

架は真実の両親や姉、真実の勤め先の人に少しでも情報が欲しいと頼み真実を捜します。

真実が過去に地元前橋で婚活をしていたことを知った架は婚活して出会った人がストーカーをしているのかもしれないと思い、婚活主催者に掛け合ってもらいます。

架は真実の両親や婚活主催者、真実が過去に婚活して出会った男性などから、自分とは婚活の考え方、家庭の築き方が異なることに気づきます。

真実の両親の子離れできていないところ、田舎女性の生き方と価値観、東京で育った架には理解できない点が多く嫌悪していました。

 

私は田舎育ちで20代後半に上京しました。田舎の価値観分かります。

東京の人には理解されないのも分かります。田舎で生まれ育ちますと田舎の価値観が染みついていますので、他所の土地に出ないとズレが分かりません。

でもその価値観って人によって異なるのは当たり前ですよね。

田舎の価値観に嫌悪した架はやはり傲慢な性格なのだと思います。

架が自身の傲慢さに婚活と女友達を通して気づく描写がとても胸に刺さりました。

男と女というだけで考え方が異なるのに、都会と田舎でもまた異なる。

色んな要素が混じって価値観が生まれています。

価値観がぴったり合う夫婦なんているのでしょうか、妥協することも多いはずです。

「育った環境や価値観が異なる人間が夫婦として向き合う」、当たり前と思う人がいるかもしれないけど、そういう夫婦関係を築くことが減っている日本社会。

結婚している人が減っている社会問題と婚活している人の心理描写が実にリアルな小説です。

 

1部で印象に残った言葉

・「皆さん、謙虚だし、自己評価が低い一方で、自己愛はとても強いんです。傷つきたくない、変わりたくない。

・悪意とかそういうのは、人に教えられるものじゃない。巻き込まれて、どうしようもなく悟るものじゃない。教えてもらえなかったって思うこと自体ナンセンスだよ。

 

 

2部 真実視点の感想

婚活で出会った二人はつきあって2年になりますが、知っているようで知らないことが多い。

「喧嘩をしたことがない」と記述されていて、ああ架と真実は本気でぶつかり合ったことことがなかったのかな、と思いました。

でも、その気持ち分かります。

私も婚活をしていたのですが、婚活から出会った人にどれくらいの期間が経てば本音を話していいのか悩みます。恋愛と婚活は少し違いますね。

真実は内向的で恋愛経験がなく、架に心の全てをさらけ出せず2年付き合ったのでしょう。架の女友達から嫌味を言われたことで架への不満が爆発しました。

 

真実が結婚を焦るあまりビックリする行動をとりますが、これはすごいですね。

真実の性格上そんなことするとは思いませんでした。

それほど架と早く結ばれたかったのかもしれません。結婚して安心したかったのかもと思います。

 

また、真実視点になった途端読むのが辛くなりました。

過去の自分と重ねてしまった部分があるのかもしれませんし、真実があまりに世間知らず。30歳過ぎても実家にいて、進学就職挙句の果てに結婚も母に決めてもらう。これは母親が過保護なのもありますが、真実が自分で決まられない、選択できないだけのように感じました。(真実姉の希実は自身で決めた進学就職など未来設計している)

 

そんな自分で何も選択してこなかった真実ですが、今回の結婚について考え、突発的にある土地に行きます。ロールモデルがいたから行動を起こせたかもしれませんが、関心しました。この土地での真実は一皮向けた気がします。

 

エピローグについて

まさかハッピーエンドで終わるとは。私はあいまいな結末を求めてしまいました。

架や真実の心情がリアルだなと思ったからこそ、今後人生の伴侶としてこの人でいいのか、考えたうえで別れる、そういう結末が見たかったな~と思ってしまいました。

 

婚活から出会った二人が本人も気づかないうちに大恋愛をしていた、そういう形のほうが多くの人に受け入れやすいのかな~。婚活している人はこの小説を読んで勇気がでるのかな~。それとも私が意地の悪いおばさん思考になっているのかな。

 

兎にも角にもこの小説は現代社会の若者に読んでほしい本です。

辻村深月さんの作品が苦手でしたが夢中になって読みました。(短編作品は読み切りましたが「凍りのくじら」「かがみの孤城」は私に合わず途中で読むのを止めてしまいました)

映画化するだろうな、と思い調べてみたら今年の9月に映画公開するみたいですね!

さすがヒット作家のベストセラーです。

映画のキャストも気になりますね、発表が楽しみです。